名人の寡黙さと饒舌と

今から始める本格農業

今日は、野焼きの日。
ここ数日は、草刈り&草刈り、ときどき水路のどろ掃除、そして草刈り。
お天気が続き、刈った草が乾き、もうすぐ雨が降るだろうという、ぎりぎりその前に草を焼いていきます。


自治会長さんが、火のことをわかっていない素人が勝手にすべきではないと、この地区で一番上手な野焼きの名人を紹介くださいました。

最初の予定は、明日だったけれど、
名人からお電話
「明日は雨が降りそうだから、今日焼くよ!」

おっと。大慌てでスケジュールをずらして参上す。

「風が強くなる前に、早く終わらせておかないと」
いつもはお話好きな陽気な名人。
なのに、そう言ったあとからはずっと寡黙で・・・、草を集めて小山にして、着火をしていきます。

一列に火をつけて、しばし見守る。

焼けていく農地を見ながら
「さつまいも持ってくればよかったな。焼き芋できるな・・・(ココロノコエ)」

名人「はよ離れて!火は走るからね。
あっという間に周りを取り囲まれて、取り残されて新聞記事に載ってしまうことが多い。」

土手を駆け上がると、春風が一気に吹いてきました。
一列になった火が一斉にこちらに向かってくる。
一瞬でけむりにまかれて目が見えなくなる。

この風を読んで一列に着火、風の力を利用して全面を焼いていくのか・・・
無理がなくて、エコだなぁ。

しばしすると、白い煙になってきました。
次の着火用に、枯草の山を作っていこう。
農地に降りると、また名人の声が飛ぶ

「よく見て!煙がない場所でも、小さな火があちこちに残っているんだよ。また風が吹いたら、火が走るよ。」
あ、本当だ(見づらいですが、画像真ん中あたり)

風を読み、ざーっと一列に着火したら土手に上がって、一服しながら様子を見守る名人。

名人「あなたも座っていいよ」
はい。

煙が一気に私の方へ。
けほけほ。

名人「場所選びが悪いんだよねぇ。風上を選ばないと」

選ぶの無理だなぁ。
名人のそばに、ちゃっかり座る。

安全な場所で火を見守っているとき、名人は饒舌になる。
軽いお話が続く中で、ぽつりと、
「僕は出来が悪いからこの地にずっと住んでいて、出来のいいやつは都会に出ていくんだよね。」

洒落た返事をしようと思ったものの、とっさに出なくて・・・。
「出来が悪いと思えないです・・・」

野焼きが終わった頃になると、消防団さんがさりげなく来た。
私が知らなかっただけで、きちんと野焼きの連絡はされていたのだな。

何てことない立ち話をしつつ、火の始末をきちんとみておいでで、
こんなやりとりもさりげなくて、あうんの呼吸、その距離感がカッコイイなぁ、と思いました。

煙がどこから上がっているのか、そろそろ終わるなというのを見ていたのかな。
戦の狼煙(のろし)みたいだな。

気づくと16時を過ぎていました。

名人「そろそろ終わろうか。お腹すいてきた」

初めての野焼き。
織物に、炎の色を追加することができました。

名人、ありがとうございます。

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